ぴっぴ、ブログ始めるってよ

雑食系多趣味オジサンが気まぐれで何かについて語ったり写真を上げたりするブログです。

『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』を観に行った話

こんにちは。ぴっぴです。

本日2020年11月22日の日曜日、巷で話題の『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』を観に行って感じたことがあり、久しぶりに一筆したためることにしました。

なお、冒頭に申し上げておきますが、この記事の中で作品そのものに関する感想は「ほぼ」書くつもりはございません。その点をあらかじめご了承ください。

鑑賞に至るまでの経緯

鬼滅の刃』については、既にみなさんよくご存知かと思いますので、あえて私から書く必要もないでしょうが、いちおう簡単に触れておきます。

原作は週刊少年ジャンプに掲載された漫画で、2019年4月から9月にテレビアニメが放送されて人気沸騰、遂には社会現象となり、2020年10月16日には待望の劇場版が公開されて空前の大ヒットを記録しています。

私自身は大の深夜アニメファンですので、昨年テレビ放送が始まった際にこの作品を知り、途中までは観ていました。ただ、少々自分の好みと合わない部分があり、途中で視聴するのをやめました。

ですが、そんな自分の行動とは裏腹に、瞬く間に世間ではもはや知らない人はいないのでは?というくらいまでの人気作品に昇りつめました。そして、新型コロナウイルスの感染拡大により様々なエンタメが制限を余儀なくされ、人々のフラストレーションが積もりゆく中、劇場版の公開を迎えたわけです。

不謹慎な表現であることを承知の上で書きますが、本作品にとっては、公開のタイミングが、まるでジグソーパズルのピースのように世間の意識変化とピッタリと当てはまったことも功を奏したのでしょう。ですから、この少々異常なまでの人気も頷けます。おかげで少し寂しかった映画館も、それまでがウソのような賑やかさを取り戻しています。

ただ、私自身は先に述べたように、この作品に対して特別な感情はありませんでした。なので、劇場版を観てみたいという気持ちはありましたが、

「これだけの人気でロングランになることは分かっているから、慌てることはない。この状況がもう少し落ち着いてからゆっくり観に行こう」

と決めていました。

そして、上映開始から約一ヶ月が経過した今日、11月22日の日曜日。たまたま他に観たい作品があったので神奈川県内の某映画館へ行くことにしたのですが、ちょうどその前に空き時間があったので、

「そろそろ鬼滅も観ておこうかな」

と思い、鑑賞することにしました。

劇場へ向かう朝、事前にオンラインで座席予約をしたのですが、一ヶ月経過したとはいえさすがの人気作品、しかも日曜日です。朝一番の上映でしたが、スクリーンに近い前方2列を除くと、その時点で空席はまばらにしか残っていませんでした。

ご承知のように、新型コロナウイルス感染第3波か?とも言われている状況下。他人と隣り合う状況を避け、あえて空いている前方の席を予約することも考えましたが、やはりせっかく観るのであれば少しでも観やすい座席がいいなと思い、たまたま中段真ん中付近にあった空席を予約して、劇場へと向かいました。

鑑賞を終えて

結論から申し上げます。作品は大変素晴らしいものでした。

しかしながら、私は気持ちよく映画を楽しむことはできませんでした。

 

左隣に、外から持ち込んできたペットボトル飲料を堂々と飲む男性。

その奥には、上映の最中に悪びれることもなくスマホを開いて画面を光らせる女性。

真後ろには、何度となく自分の席をトントンと蹴る子ども(と、それを放置する親)

右の奥には、上映中ずっと話すことをやめない幼児(と、ずっとその相手をする親)

 

ほぼ毎週のように映画館に足を運んでいる私なので、マナーの悪い客と遭遇することはこれまでも幾度となくありました。が、ここ何年かを振り返っても、ここまで酷い状況に置かれた記憶はありません。

「普段映画館へ足を運ばない客が多いのだから仕方がない」

「せっかくの楽しい時間なのだから気にしないようにしよう」

と、自分に言い聞かせるよう努めましたが、さすがに難しかったです。

「子どもだから」「知らなかったから」は免罪符にはならない

どんな世界でもそうですが、誰だって何かを始める際は必ず「初めて」を通ります。また、普段行くことのない場所へ行くことがあれば、そこでの「掟」 が分からないこともあるでしょう。

ですが、まずもって、映画館では上映前に、必ずスクリーンに「映画館からのお願い」が映し出されます。それも複数回。

 

上映中はしゃべらない。

館外からの飲食物の持ち込みは禁止。

スマートフォンの電源は切る。

前の座席は蹴らない。

 

見ていないはずはありません。

それ以前に、公衆の場に出るのであれば、自分もしくは同行者の行動が周囲にどのような影響を与えるのか。これをまず考えるのは、いわば人間としての「義務」です。何も映画館に限った話ではありません。いつ、どのような場所でも同じです。

「子どもだから」というのも言い訳になりません。私自身、映画ファンでありアニメファンですから、小さな子どもたちが映画やアニメに興味をもって観てくれるのは嬉しいことです。

だからこそ、映画館ではどんなルールがあって、どう振る舞わなければならないのか、そしてそれはなぜなのか。親にとっては、それを子どもに教えてあげる絶好の機会ではありませんか。なのに、それを教えられることもなく、知らないまま育ってしまう子どもたちがいるのだと思うと、不憫でなりません。

「PG12」を考える

鬼滅の刃』をご覧になった方は分かるかと思うのですが、この作品は少々残忍な描写が含まれたシーンもたびたび映し出されます。純粋な子ども向けの作品とは趣が異なります。

なので、映画倫理委員会の審査では「PG12」という区分の作品にあたります。

映倫によると、「PG12」とは、以下のような作品だと説明されています。

PG12:小学生には助言・指導が必要

この区分の映画で表現される主題又は題材とその取り扱い方は、刺激的で小学生の観覧には不適切な内容も一部含まれている。一般的に幼児・小学校低学年の観覧には不向きで、高学年の場合でも成長過程、知識、成熟度には個人差がみられることから、親又は保護者の助言・指導に期待する区分である。

つまり、ここにも書かれている通り、『鬼滅の刃』は、実は「一般的に幼児・小学校低学年の観覧には不向き」と審査されている作品なのです。

この事実を、劇場に足を運んだ親子連れのお客さんたちが、一体どのくらいの割合で理解されているのでしょうか。

もちろん「鬼滅の刃は大人向けの作品だから子どもを連れてくるな!」などという気は毛頭ありません。

個人的には、現在のこの映倫の区分は、結局どうしてほしいのかが分かりづらくて、イケていない表現だと思っています。

ですが、そう決めているのであれば、それをしっかりと伝えてほしい、とも思っています。

そして、連れてくる親または保護者には、「助言・指導」をするべき立場にあるのだ、ということを、もっと強く認識してもらいたいのです。それは、内容が刺激的であるという点に対するフォローのみならず、もっと基本的な、先の章に書いたような「映画を観る際のマナー」も含めて、です。

アフターコロナで求められる「TPO」 

話は逸れますが、 コロナ禍における経済復興策として「Go To トラベル」「Go To イート」等のキャンペーンが展開されています。

ここでも昨今、残念な消費者行動の報道が後を絶ちません。特にハイクラスの宿や、高級料亭などで、従来と異なる客層が宿泊や来店することによるミスマッチが起きています(キャンペーンの制度設計の杜撰さや政府の対応がお粗末な点はいったん置いておきましょう)。

利用客がどんなにポイントを利用したとしても、自己負担がどんなに少額だったとしても、事業者にとっては関係のないことです。

 

5万円の宿に泊まるのなら、5万円の宿に相応しい行動をする。

1万円のレストランで食事をするのなら、1万円のレストランに相応しい行動をする。

 

事業者の立場で考えれば簡単にわかることが、コロナ禍の顧客には見えなくなってしまっているのかもしれません。

いま、日本のみならず世界中の多くの人が、大きなストレスを抱えながら生活することを余儀なくされています。そんな人々の心を救うためには、レジャーやエンタメの力は欠かせないと信じています。

であれば、我々自身が、それらを潰すことにならぬよう、今まで以上に常日頃から意識して行動する必要があるのではないかと、今回の体験や最近の出来事を通して、強く感じた次第です。

私は生まれて以来、何十年と日本国内のみで生活してきた生粋の日本人ですが、細かい不満はいろいろあれど、結局この「日本」という国の文化と国民性が大好きです。しかし、昨今の状況を見ていると、日本固有の美徳を果たして今後も守っていけるのか、不安で、心配でなりません。

これからますます厳しい時代がやってきます。これからの日本を支える世代が、自信をもって「この国が好きだ!」と言ってもらえるような将来を作るためにも、いまの大人たちがしっかりしないといけないのではないでしょうか。

たかが映画、されど映画。

ですが、これは現代日本社会が抱える闇の、氷山の一角なのではないかと、そんなことを感じてしまった一日でした。

 

長文に最後までお付き合いいただいたみなさん、ありがとうございました。