「AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED」をネガフィルム撮影に使ってみた
「AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED」という、ニコンのフルサイズ対応の単焦点レンズがある。
※APS-Cサイズ機(DXフォーマット)用の「AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G」とは別物です。
ボクはこのレンズが結構好きでよく使う。ツイッターのTLを拝見していても、好んで使う方が多いみたい。
カタログスペック上では特別に物凄いレンズというワケではないんだけど、滑らかなボケと、ナチュラルでしっとりした描写がとにかく心地いい。また、軽量コンパクトで気軽に持ち出せるのも出動機会の多さにつながっている。
で、今回試してみたかったことがある。それは…
「このレンズを、ネガフィルム撮影に使ってみたらどんな描写になるのか?」
という、ちょっとした興味からの実験です(笑)
この実験に使った銀塩一眼レフは、こちら。
「Nikon U2」という、ニコンフィルム一眼レフカメラのエントリー機最終形態。
普及機だけあって、珍しくもなく、作りもチープなカンジは否めないので中古カメラ市場では超安値で叩き売りされちゃっているけど、性能自体は実は結構いい。
加えて、いま現役で発売されているニコンのデジタル一眼レフと操作系がほぼ共通なので、ニコン機を使っている人ならば使いやすいのも魅力。
ちなみに私、なぜかU2発売当時のカタログも持っています。
もしかしたら、今となってはカメラ本体よりもこっちを探す方が難しいかもしれない(笑)
というワケで、早速このコに35/1.8Gをつけてみる。
はい、全く違和感ありません。バランスも悪くない。というか、むしろちょうどいい。
これで準備も整った。
さて。今回撮影に選んだスポットは、横浜の「三渓園」。
四季折々の風景が楽しめる、国の指定名勝。では、行ってみましょう!
アクセスは幾通りかの方法があるんだけど、自分は横浜駅方面からの市営バスで向かった。
記念すべき最初のワンカットは、下車したバス停「桜道」。ここから三渓園の入り口までは桜並木があって、春にはそんな風景も楽しめちゃう。
正門門柱の表札から、既に風情たっぷり。
門を抜け、入園受付を済ませると、すぐに左手前方にある大きな池と、その向こうにそびえ立つ三重塔が目に飛び込んでくる。
たぶんみんなまずここで写真を撮る。とりあえず自分も定番のカットを。
ズームレンズで中望遠までカバーしていれば、縦構図で撮るのもいいと思う。
池に沿って歩を進めていくと、右手に「鶴翔閣」という建物が見えてくる。1902年の建築だそうな。
その奥にある「ボイラー室跡」を撮って、鳥肌が立った。このレンズの真骨頂だと思う。現場の湿度感が見事に再現されている。ネガフィルムでこの表現力は凄い。
さらに進んで、右手へ折れると立派な門が見えてくる。京都東山の西方寺から移築されたものらしい。
こんな撮り方ができるのもこのレンズならでは。柔らかいボケがたまらない。
通常であれば、この先にある「臨春閣」という建物が内部見学できてカメラ的にもフォトジェニックなんだけど、現在補修工事を行っているので今回は入れず。工事が終わったらまた撮りに来たい。
臨春閣の奥へ回り込む。ここもみんなが写真を撮りたくなるフォトスポット。
その先は階段を上っていく。
頂上に「天授院」という重要文化財が立っている。こちらは1651年に鎌倉の寺院で建てられたものを、大正時代に移築したらしい。
見下ろすとこんな風景が。
階段を下りて、右手に位置している「聴秋閣」。京都の二条城内にあった建物らしい。そうと知ったからかどうか分からないけど、京都っぽいニオイがする。
ピントを外してしまったのは不覚。まあそれもフィルムで撮るときならではのことだから、そんなのも含めて楽しむのがいいと思う。
そこから後ろを振り返ったらこんな風景。ちょうど成人の日だったので、振袖姿の女性もちらほらと見られた。確かにここは着物姿が映える場所だ。いいチョイスだなあ。
竹やぶも絵になる。
少しだけど花が咲いている梅の木もあったので、三重塔と一緒に撮ってみた。
梅林の奥にある滝からの流れ。たぶん滝にピントを合わせたんだと思う。もうちょっと絞って撮ればよかった。ついつい絞り開放ザムライになってしまう(笑)
橋のひとつひとつにもちゃんと名前がついている。
この日は本当に寒くて、ここまで撮ってまだ11時半頃だったんだけど、お腹も空いたし、何より暖を取りたかったので「待春軒」という園内の食事処へ駆け込んだ。
本来はそばが名物のお店なんだけど、寒さのあまり「とん汁うどん」というメニューの名前にノックアウトされて、今回はこれをいただくことにした。
「とん汁」だけでも十分強いのに、これが「うどん」と合体してしまったのだ。極寒の中でこれに勝てるメニューなどない。
ちなみにこのレンズはテーブルフォトにも強い。おかげでとん汁うどんが美味しそうに撮れた。
腹ごしらえもして温まったので、撮影再開。
この日の中でも特にお気に入りの写真。これもこのレンズの力だと思う。
ちょうどこれで園内を一周した。まだフィルムのコマが余っているのでもう一回まわってみる。
松を主役にするのもアリ。
サギさんを主役に立てるのもアリ。
こういう額縁的な構図をつい使ってしまいたくなるのは、京都で寺院や庭園を撮りまくっていて身についたクセなんだと思う。
と、まだ半周もしないうちにまた寒風が襲ってきた。目の前には茶寮が、、、
入るしかないでしょ。
こちらでは甘酒とみたらし団子をいただいた。このレンズで良かったと思った一瞬。
隣の席では成人式の親子がお昼ごはんを食べていた。「おめでとうございます」のひとことくらいかけてあげれば良かったかな。
いや、こんなヘンなカメラぶらさげて一人で来ているおっさんに話しかけられたらキモいか。下手したら通報されるかもしれない。やめておいて正解だった。きっと。
あと数コマ撮れそうなので、最後に「松風閣」という展望台に上ってみることにした。
この一帯は海沿いに製油所が並んでいるのでこんな景色が広がっている。でも富士山も見えるのがすごい。
ラスト一枚は、三重塔の横で庭園を上から眺めたカットで終了。
この日使ったフィルムは、コダックのGOLD200。
いよいよフィルムもお高くなってきたし、楽しめるうちに楽しんでおかないとね。
ということで、「AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED」をニコンU2にくっつけて遊ぶのは、率直に言って楽しかった。
もともとU2には「AF Zoom Nikkor 28-80mm F3.3-5.6G」という軽量コンパクトかつ優秀なキットレンズがついていて、それだけで十分楽しめるんだけど、35mm単焦点で楽しむのもいいと思う。このレンズだからこそ撮れた!っていう絵もあったしね。
~~~ ここから先は余談です ~~~
自分は「U2」に特別な愛着心を感じているんだけど、これには一応ワケがある。
ボクが人生で最初に手にした一眼レフは、ニコンの「D40」だったんだけど、U2って、サイズから何からD40にそっくりなんだよね。
いや、正確にはD40がU2に似ているんだけど(笑)。でも、世間やニコンの時系列ではそうなんだろうけど、ボクの中ではそういう順序なので。
実際にD40が手元にあるので、ちょっと並べてみた。
ま、当たり前といえば当たり前なんだけどね。ちょうどフィルムからデジタルに本格移行する過渡期で、U2の位置付けに相当する機種がD40だったんだから、まあそうなるワケですわ。
D40はもうすっかり出番も減っちゃったけど、売ってどうなるような機種でもないので、思い出とともに手元に置いておくことにした。たぶんこの先、動かなくなっても持ち続けると思う。
U2はD40の前世みたいな存在だろうから(笑)、こちらも使える限りは手元において遊んであげたいと思う。だって使いやすいんだもん。
ああ。カメラって楽しいね。フィルムも、デジタルも。